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新型コロナ認定治療薬

2020/08/03

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 -webマガジン mi-mollet-  2020年7月27日記事

『「古くて新しい治療薬」の可能性【医師の解説】#コロナとどう暮らす』

https://news.yahoo.co.jp/articles/08549db7e4b78a74906312be253667df7cf11e0f >


「国内2例目の新型コロナ治療薬認定」
最近、こんな記事をご覧になった方も多かったかもしれません。2例目の治療薬として認定されたのは、「デキサメタゾン」という薬剤。実は、とても歴史のある薬です。今回の記事では、1つ目の薬は何だったのか、2つ目の薬との違いや立ち位置など、新型コロナウイルス感染症治療薬の現在地についてお伝えできればと思います。


認定1号となったレムデシビルは、10年前からあった

新型コロナウイルスの治療薬として最初に認定を受けたのは、ギリアドという会社の作ったレムデシビルという名前の薬剤です。

このレムデシビルの「ビル」という名称は英語表記で”vir“と書き、抗ウイルス薬に共通して命名される接尾辞です。例えば、皆さんご存知タミフルの一般名はオセルタミビル。これも同様に「ビル」がついていることが分かります。このような共通点から、医師にとってはレムデシビルが何の薬かを知らなくてもウイルスの治療薬なのだなということは想像がつきます。

レムデシビルという薬剤は、元々は今から10年ほど前にC型肝炎ウイルスと呼ばれる肝臓に感染する病原体に対する薬剤研究の中で誕生した薬です。残念ながらC型肝炎ウイルスには効果を発揮できませんでしたが、その後エボラウイルスと呼ばれるウイルスに有効な可能性が示唆され、期待を持たれてきました。

このC型肝炎ウイルスとエボラウイルスの共通点は、RNAウイルスという種類のウイルスであること。このレムデシビルという薬剤は、RNAウイルスの増殖過程を抑える薬なのです。

その後、同じRNAウイルスであるSARSやMERSに対しても動物モデルで有効なことが示されており(参考1)、今回の新型コロナウイルスでもその有効性を検証される運びとなりました。

薬の有効性を示すためには、動物実験だけでは不十分で、実際にその感染症にかかってしまった人に投与を行い、偽薬と比較して致死率を改善する、あるいは治癒までの時間を短縮することを証明する必要があります。

実際にレムデシビルは、1000名を超える感染者を対象に比較試験が行われました(参考2)。その中で、治癒までの時間が4日ほど短縮されることが示されました。また、致死率では統計学的な差を示すことができませんでしたが、14日後の死亡率に良い傾向が見られました。

こういった試験の結果を根拠に、多くの先進国で使用が認められる結果につながっています。しかし、致死率には必ずしも有意な差が認められていない状況であり、今後も「命を助ける」治療を探し続ける必要があります。

また、現在のところ、このレムデシビルには注射薬しかありませんので、医療機関の中でしか用いることができません。このため、レムデシビルの「吸入薬」も現在開発中です。


2つ目の治療薬、デキサメタゾンとは「ステロイドの一種」

その後、多くの治療薬で有効性が証明されない中、デキサメタゾンと呼ばれる薬剤が有効性を示したことが報告されました。

デキサメタゾンという薬剤は、「ステロイド」と呼ばれる薬の一種です。ステロイドは、例えば喘息発作の炎症をとる目的で、あるいは「自己免疫疾患」と呼ばれる種の病気で免疫を抑える目的で、と様々な場面で使用されており、私自身も医師として頻繁にお世話になっている薬剤です。

コロナウイルスの克服には「免疫が鍵だ」という話を耳にされたことがある方は、免疫を抑えるような薬を投与していいのか、と思われたかもしれません。実際、免疫も、免疫の働きの結果生じる炎症も、人がウイルスを駆除するのに大切な働きです。これを抑える薬は、マイナスに働いてしまいそうです。

しかし、この炎症の働きは、時にオーバーヒートしてしまうことがあり、これがCOVID(新型コロナウイルス感染症)の重症化の一因を担っていることが分かっています。ステロイド薬はこの「いきすぎた炎症」を抑え、重症化を抑えるというコンセプトのもとCOVIDの患者に試験的に投与が行われてきました。

ここから、薬の立ち位置がレムデシビルとは大きく異なることがお分かりいただけるかと思います。レムデシビルがウイルス自体に効果を発揮するのとは異なり、デキサメタゾンには、ウイルスへの効果は期待できません。この薬は、ウイルスが感染して生じる炎症を抑えるのです。

このデキサメタゾンの有効性を検証する試験では、デキサメタゾンを投与した患者で、なんと致死率の低下まで示されています(参考3)。これはレムデシビルでも示すことができなかったので快挙とも言えます。ただし、注意が必要なのは、全体として17%程度の致死率の低下が認められたものの、改善を示した患者を詳しく見てみると、酸素投与を必要とした患者や人工呼吸器を必要とした患者など、中等症や重症の患者でした。酸素投与も不要な軽症の患者には、残念ながら効果を確認できず、むしろ致死率悪化の傾向すら認めていたのです。

事実、このステロイド薬は諸刃の剣であり、適材適所で用いればとても有効な薬ですが、免疫力を落としたり、血糖値を上げてしまったりと、副作用も多く知られている薬です。このように、薬はなんでも投与すれば良いというわけではなく、適材適所で用いなければ、逆に有害なものになってしまうのです。

これらの試験結果から、現在のところの最善の治療法として、軽症の患者に対しては闇雲に薬を投与せず、重症な患者に対してのみレムデシビルとデキサメタゾンを組み合わせて投与するような治療が考えられています。


インフルエンザの治療薬とくらべてみる

ここで、この証明された効果のインパクトを知るために、インフルエンザの治療薬との比較を行ってみたいと思います。本来別々の試験で示された効果を比較するのは御法度なのですが、感覚をつかんでいただくための参考にしていただければと思います。

先に紹介した新型コロナウイルスの治療薬、レムデシビルとデキサメタゾンの効果はそれぞれ、「治癒までの期間を4日ほど短縮するが致死率の改善は証明されていない」、「致死率を17%ほど改善する」というものでした。

これらの文字や数字を見て、「あまり大きな効果は期待できない」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

それでは、インフルエンザの治療薬である「タミフル」はどうでしょうか。この薬は皆さんにも馴染みのある薬ではないかと思いますし、「インフルエンザには治療薬がある」と皆に安心を与えている薬ではないかとも思います。

このタミフルが「有効」とされる根拠となっている複数の論文を参照すると、証明された有効性は、「治癒までの期間が平均1日ほど短縮する」というものであったことが分かります(参考4)。致死率の低い感染症であるためその証明も難しいのですが、この治療薬に「致死率の改善」といった効果が証明できているわけではありません。

しかし、これを社会的には「有効な治療薬」としているわけですから、レムデシビルやデキサメタゾンも新型コロナウイルスの「有効な治療薬」と呼んでも世間一般としては差し支えなさそうです。


「古くて新しい治療薬」の可能性

ここまでのところ、2種の薬剤に効果が示唆されているわけですが、治療の進歩はこれで終わりではありません。現在も数え切れないほどの試験が進行中です。
例えば、別の病気に使われてきた薬を実はCOVIDにも有効ではないかと試してみる、「ドラッグリポジショニング」と呼ばれる手法が盛んです。
ドラッグリポジショニングでは、すでに使用されてきた経験のある薬剤を用いるため、どのような副作用があるかが十分わかっており、開発コストも安く抑えられるメリットがあります。これが当たる確率は決して高くはありませんが、仮に見つかれば一から薬を開発するよりもいち早く臨床試験を開始できるという強みがあります。
また、新たな薬で現在有望視されているものとしては、「モノクローナル抗体」と呼ばれる薬が挙げられます(参考5)。この「抗体」というのは、感染した人の身体の中で作られ、ウイルスを攻撃するために増産される銃弾のようなものです。これは感染した方やワクチンを注射した方の体の中で約2週間かけて作られ、一定期間保存されるものですが、このモノクローナル抗体は、新型コロナウイルス用の銃弾を予め工場で大量生産しておいたようなものです。これを薬として、感染者と濃厚接触した方や感染した方に投与するのです。これにより、感染後2週間かかるプロセスを感染の直後から実現できるのではないかという発想です。
実際に、感染した方の多くが有効な薬なく治癒できるのは、この抗体のおかげといっても過言ではありませんので、この薬剤にも大きな期待がかけられています。いまだ人の試験の結果が報告される段階には至っていませんが、今後大きな財産となる可能性が高いと考えられます。


カレトラ、アビガン、クロロキンは?

その他の薬剤として、過去にはHIVに用いられてきた「カレトラ」、インフルエンザの流行に備えて備蓄された「アビガン」、マラリアの治療薬として用いられてきた「クロロキン」なども期待されていましたが、残念ながら今のところ有効性を証明できるには至っていません。

これらの薬剤はいずれも話題先行となり、以前は紙面を賑わすことも多くありましたが、今ではあまり聞かなくなってしまったかもしれません。

あくまで薬剤の有効性というのは、綿密にデザインされた臨床試験の中でしか確認はできません。はやる気持ちを抑え、丹念に科学的知見を積み重ねていくことでこそ、将来の財産が生み出せるのです。

有効性を証明できない薬のリストを見て悲観的に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはこれで我々の財産です。何が効くかだけでなく、何が使えないのかを知ることも、我々の将来につながっているのです。


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『アビガン』は、治験デザインが酷すぎて、有効性が証明されていないだけです。

『アビガン』は、RNAウイルスについて、『レムデシビル』よりも効果があります。

新型コロナの治癒までの時間が、『レムデシビル』で4日間の短縮、『アビガン』ならば7日間の短縮です。

致死率についても、東京大学の『アビガン』と『フサン』を併用すると、重症患者11名中10名の命を救っています。

藤田医科大学などの『アビガン』使用患者の1,282人の新型コロナの観察研究の分析では、14日目までに症状が改善した割合は、軽症87.8%、中等症84.5%、重症60.3%でした。

『アビガン』は、実際に効果が出ているのに、治験デザインで邪魔をしているのは誰でしょうか?



クエスト不動産経営管理(株) 石光良次


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