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不動産問題の複雑化

2019/09/13

「老後資金は約2000万円必要」とする金融庁の報告書も、話題となったこともありました。

このような年金問題だけでなく、人工知能(AI)などの進化による働き方の変化についても、なんとなく不安があります。

これは、経済環境や資産価格の変動リスクの不透明感など、将来に対する不確実性が増していることも無関係ではありません。

不動産の保有や運用についても、これまで以上に、慎重に判断しようとする人も多くなっています。


しかし、相談する消費者側と受ける企業側とで、話がかみ合わないケースも散見されるようになっています。


これまでは、買う・売る・借りる・貸す・建てることについて、方針がある程度固まっていることが多かったです。

それぞれの方針について、具体的にどのように進めていくべきかの相談を不動産会社に持ち込むのが一般的でした。


例えば、住まいを売るのであれば、売買を仲介する不動産会社に相談に行き、いくらで売れそうか、どうやって売ればよいかなどを相談していました。

空き家や空室を貸したいならば、賃貸を仲介する不動産会社に相談すればよかったですし、遊休地に賃貸アパートを建てたいならば、建築会社に相談すればよかったワケです。


ところが、最近では、住まいであれば、買うか、借りるか、現状にとどまるべきかといった方針そのものについて、「どうしたらよいか」という相談も増えているのです。

空き家や賃貸物件だったら、売るべきか、貸すべきか、あるいはこのままにしておくかといった相談です。


仮に売ったとして、そのお金は何で運用すべきなのか、別の何かに投資するとしても現状と比べて期待リータンとリスクはどう異なるのかも議論になります。

自分の子供や孫が、承継する時期までの時間軸で考えたとき、何を選択すべきなのかといったところまで、議論が深まることもあります。


賃貸マンションの建築であれば、賃料の下落や減価償却、借入金の返済などを踏まえた最終の手取りから見た時、借入額はどの程度ならば許容範囲なのでしょうか。

賃貸マンション建築のリスクとリターンと他の投資との比較で、賃貸マンションの建築に妥当性はあるのかどうか、借り入れは相続対策との関係で、どの程度効果的なのかといった相談も多くなっています。


こうした中、「どこに相談しても納得できる回答がなかなか得られなかった」という声もあります。

相談に行っても、各社が得意とするサービスへと誘導されるのが、その理由です。

例えば、遊休地を売るか、そこに賃貸アパートを建てるかで悩んでいるとすれば、売買仲介会社は売却を勧め、建築会社はアパート建築を勧めるのが一般的です。

結局、どちらが良いか判断がつかなくなります。


自らが販売する商品やサービスについては、各社とも当然ながら自信をもって推奨します。

そのメリットについては、十二分に語ることもできるでしょう。

しかし、自社商品やサービスのデメリットや、自社が不得意な商品やサービスと比較しながら、消費者側の事情と背景を踏まえたとき、何がベストかということをともに考えていくのは得手ではないのかもしれません。



こうなると、中立的なアドバイザーがいない場合、各社には自社商品やサービスを売りたいというバイアスがかかっていることを踏まえましょう。

複数社から提案を受けた上で、自ら選ぶ方針を決めるしか方法はなさそうです。

しかし、どの会社も自社商品やサービスを選んでもらうようベストを尽くします。


どうやって判断すべきかは、経済合理性以外の判断軸を、自分なりに整理した上で、相談をすることが大事だと考えます。


投資理論や税法などを駆使して、数字で合理性を検証し、方針を決めることは不可能ではありません。

しかし、人は経済合理性だけで、方針を決められるものではありません。

自分の求める生き方や暮らし方という軸、例えば、自分と家族や親族、子供たちの幸せとは何で、どうやって実現したいのか。

賃貸物件オーナーならば、借りる人や地域の人々の幸せをどう実現したいかといったことが、不思議と最後の決め手になるものです。


こうした判断軸を持つと、自信を持って決断できますし、将来、その決断について後悔することは、極めて少なくなると考えます。



クエスト不動産経営管理(株) 石光良次


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