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新型コロナワクチン 現状の日本の制度では訴訟が多発しかねない理由①

2020/11/26

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 -東洋経済ONLINE- 2020年11月11日記事

『新型コロナワクチン、現状の日本の制度では訴訟が多発しかねない理由』

https://news.yahoo.co.jp/articles/1800351a5e50dfa233e884e539a04b523ac6a3c2  >



新型コロナウイルス感染症のワクチン開発競争が激しさを増している。近い将来、開発に成功してワクチン接種が始まるだろう。しかし、過去にない異例な早さでのワクチン開発は、未知の健康被害のリスクも高めている。現在の日本の「健康被害救済制度」には問題点があり、「新型コロナワクチン訴訟の多発」を招きかねない。被害者への確実な補償と国民への安定的なワクチン供給を将来にわたって担保するためにも、今こそ見直す必要がある。
(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)


● 訴訟多発は ワクチン供給を不安定にする

新型コロナワクチン開発競争が激しさを増す中、世界的医学雑誌『New England Journal of Medicine』(10月28日付)に、ワクチン禍への無過失補償を求める論考が掲載された。

「世界中に供給されるワクチンの場合、非常に安全な製品であっても、発作やアレルギー反応などの重篤な有害事象のリスクは避けられない」

「新型コロナワクチンが被接種者に健康被害をもたらした場合に、潜在的かつ実質的な責任から企業を保護することが大事だ。製薬企業は、法的責任からの保護なしに、調達契約またはワクチンの出荷に同意しないだろう」


過去に類を見ないスピードで進む新型コロナワクチン開発の危うさとして、未知の健康被害リスクが指摘されている。製造・供給した製薬企業にその責を負わせる可能性が残っている場合、その最終的なしわ寄せは国民に来る。つまり、訴訟が多発すれば、ワクチン事業から製薬企業が次々に撤退して、国民への供給が滞りかねない。

実際、米国では1970~80年代にワクチン訴訟が頻発した結果、供給が不安定となった。被害者・家族に対する賠償と裁判維持にかかる経費が膨れ上がり、製薬企業が次々に見切りをつけたのだ。ワクチン接種率の深刻な低下につながった。

これは対岸の火事どころではない。日本の現行制度は、「新型コロナワクチン訴訟の多発」を招きかねない建付けなのだ。

まず、ワクチンの副反応としての認定基準が明確に定められていない。さらに、健康被害に対し国からの補償を得てもなお、被害者側が製薬企業や国を相手に訴訟を起こせる。

被害者への確実な補償と国民への安定的なワクチン供給を将来にわたって担保するためにも、わが国は「健康被害救済制度の見直し」に今こそ着手すべきだ。以下、丁寧に見ていきたい。


● 接種は無料、補償は高水準 しかも無過失補償

まず安心材料から見ていくと、今回の新型コロナワクチンでは、健康被害者に対し国による高水準の補償が保証される見通しだ。

(なお、この場合の「健康被害」とはワクチンに起因する「副反応」(真の副反応)を指す。実は日本では今もなお用語の混乱がある。かつては接種後の体調不良全般を一般に「副反応」と呼び、中でもワクチンに起因すると考えられたものを「真の副反応」と呼んで区別してきた。一方、海外では接種後に起きた体調不良を総称で「有害事象」と言い、そのうちワクチンに起因すると判断されたもののみを「副反応」と呼ぶ。世界的標準と異なる用語を使ってきたせいで、HPVワクチン接種後の“有害事象”が海外ニュースで“副作用”と誤訳され、混乱を招いた。以下、世界標準に則って「有害事象」と「副反応」を論じていく)。

厚生労働省は10月2日、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種を、予防接種法における「臨時接種」の枠組みをベースとする方針を発表した。「住民への接種を優先する考えに立ち、簡素かつ効率的な接種体制を構築する」ことを最重視した決定だが、補償についても妥当な判断と言える。


「臨時接種」は、定期接種などと同じく予防接種法上の制度で、バイオテロなども念頭に「蔓延予防上緊急の必要」を認めた場合に適用される。接種費用は完全無料で、予防接種後の副反応も、予防接種法に基づく「健康被害救済制度」の対象となる。補償額は、小児期に接種を受けるべき「定期接種A類」ワクチン(※)と同じだ。後遺症が残れば、他の疾病による場合と同様に障害年金の対象となる(例えば1級認定では毎年506万円の支給)。死亡の場合は、死亡一時金として4420万円が遺族に支払われる。

何より重要なのが、健康被害救済制度は「無過失補償」を謳っていることだ。「予防接種の副反応による健康被害は、極めて稀(まれ)ではあるが不可避的に生ずるものであることを踏まえ、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された者を迅速に救済する」とされている。

本来の「無過失補償」は因果関係の有無さえ問わないのが世界標準だが(実際の運用については後述)、ワクチンを製造した製薬企業やそれを承認した国の過失を立証する必要がないことで、補償へのハードルは大幅に下がる。その点で、「臨時接種」の採用は被害者救済に大きく貢献することになる。

それなのに、「訴訟が増える可能性はどこにあるのか?」と思われるかもしれない。


※乳幼児期のヒブや小児用肺炎球菌、BCG(結核)、4混(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ)、MR(麻疹、風疹)、さらに女子中高生が対象のHPV(子宮頸がん)など10種類。


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②に続く




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