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アビガン共同開発者・白木公康氏に聞く 新型コロナとの戦い方

2020/05/27

日刊ゲンダイ5月6日記事より

https://news.yahoo.co.jp/articles/4edcd42b29d76f1f810c11d3bf89635053818e64 >

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「早期に投与すれば重症化を避けられる」

新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として注目される、国産の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)が、5月中にも薬事承認されそうだ。安倍首相が同4日の記者会見で明らかにした。同剤の共同開発者である富山大学名誉教授の白木公康氏(千里金蘭大学副学長)に取材した。

 ◇  ◇  ◇

――なぜ抗インフルエンザ薬のアビガンが新型コロナウイルス感染症に効くのですか?

インフルエンザや新型コロナのウイルスは遺伝子にDNAでなくRNAを持っているからです。アビガンは、細胞内に侵入したウイルスが、RNAの複製に必要な酵素「RNAポリメラーゼ」によく似た構造をしています。ウイルスが間違えてアビガンを取り込むと、RNAのコピーができなくなり増殖が止まるのです。RNAウイルスは同じような仕組みで増殖するものが多いため、昔からインフルエンザ以外のRNAウイルス感染症にもアビガンは有効だと考えられてきました。実際、2014年には、ギニアでエボラ出血熱の患者に投与して死亡率を下げたとの研究報告があります。

今回、中国政府が、すぐに使うために7万の既存薬からアビガンを新型コロナウイルス感染症の薬候補として選んだのはこうした理由からです。

アビガンが新型コロナウイルスに効くのは中国の論文からも明らかです。実験室レベルの研究ではエボラと同じ用量での効果が認められていますし、臨床試験でも「アビガン治療群では平均4日でウイルスが消失し、対照群では平均11日を要した」と報告されています。解熱までの期間や咳が緩和する期間の短縮が確認され、日本で心配されている副作用についても「明らかな副作用も見られず安全性は高い」と書かれているのです。

にもかかわらず、日本の感染症の専門家は「アビガンの有効性については判断できない」とするのはなぜでしょうか。少なくとも、「中国では有効性が確認されているが、わが国では判断できない」というべきではないでしょうか。

――抗インフルエンザ薬のアビガンが効くのなら、タミフルやゾフルーザなども効くのですか?

コロナウイルスとインフルエンザは違うウイルスなので、タミフルやゾフルーザは効きません。しかし、両ウイルスはRNAウイルスなのでアビガンは効きます。マウスの実験ではタミフルは3日延命しますが、その後ほぼ死んでしまいました。ところがアビガンは死にません。同じ抗インフルエンザ薬でも、効く仕組みが違うからです。

しかもアビガンは感染した細胞内でRNAウイルスを作らせませんから、薬剤耐性ウイルスは生まれません。

ところが、タミフルやゾフルーザはウイルスが感染した細胞内で限界になるまで増えた後で効き始めるため、その間に薬剤耐性のあるウイルスが生まれる可能性があるのです。

アビガンがRNAウイルスを合成しないということは、ヒトの免疫細胞からRNAウイルスを攻撃するときに必要なサイトカイン(炎症を起こす物質)も分泌されないということです。

サイトカインが出ると熱が出ます。ほとんどRNAが合成されないときにアビガンを投与すればそれほど熱は出ません。しかし、感染した細胞内でRNAのコピーが目いっぱい作られた後に効くタミフルやゾフルーザでは高い熱が出るし、その期間も長くなるのです。

新型コロナウイルス感染症は重症になるとサイトカインストームが起きるのではないか、との議論があります。サイトカインストームとはサイトカインが過剰に分泌され、全身の臓器にダメージを与えることを言います。しかし、そんな議論はアビガンを早期に使えば、病変も小さいので不要です。

いずれにせよ、投与のタイミングさえ間違わなければ現時点ではアビガンが最も効果があると思います。


――しかし、中国は最初にアビガンの効果を認めながら、後になってアビガンを推奨した論文を引き下げたりもしています。

この論文のデータに問題はなく、データはそのまま再掲載されました。この経緯については、半年もすれば明らかになると思います。


呼吸困難が出てからでは遅すぎる

――アビガンは当初、重症者向けに投与されていました。これについてはどうお考えですか?

日本では知られていませんが、3月中旬に、中国政府が、アビガンは感染初期の患者には非常に有効だが、重症の場合は早期の患者ほど効果がないと発表したと英国のガーディアン紙が伝えています。これは予想されたことです。

アビガンは細胞内でRNAを合成させない薬ですから、感染が進みRNAに支配された細胞に体が埋め尽くされた重症者に効果が限られるのは当然です。アビガンは感染初期にこそ、より力を発揮するのです。

とはいえ、なんでもかんでもアビガンを投与しろ、と言うのではありません。発症して6日以内で肺炎症状がある人には投与を検討すべきだと考えています。

――なぜ投与は発症後6日なのですか?

アビガンを評価した中国の論文では発症後6日のケースのデータを取り上げていて、成果を出しているからです。中国・武漢のデータには発症後12日の数字がありますが、それでは遅いのは明らかです。

――アビガンを肺炎の早期の患者に投与すべき理由がほかにあれば教えてください。

もし一般的な細菌性の肺炎やそれが原因と疑われる発熱、咳、痰が出たりした場合には、見つけ次第、抗菌薬で治療をします。呼吸困難が来てから治療しようかという医師はいないと思います。私は、新型肺炎が見つかれば、効果が期待できる薬で治療を始めましょうという当たり前なことを言っているに過ぎません。

それと、今回注意したいのは新型肺炎の本質は、血液との間でガス交換を行う肺胞よりも早く肺胞の骨組みとなる間質を障害する間質性肺炎であることです。そのせいで自覚のないまま病状が進行しやすいのです。ですから呼吸困難に至らない軽症の人でも肺にダメージが残る可能性があります。それを医療者として見過ごすことはできないのです。新型肺炎だからといって特別な治療プロセスを取るのではなく、肺炎と同じような治療プロセスを採用すべきだと思います。

誤解されると困りますが、私はアビガン開発者だから「早期にアビガンを使う」、と言うわけではありません。中国の臨床試験の結果から、既存薬の中で、その効果が得られるのが感染早期の段階だから使えばよいと思っています。もちろん、希望する人にメリット、デメリットを十分説明した上ですが。そしてアビガン以上の薬が出てくれば、その時点でスイッチすればいいのではないでしょうか。


▽白木公康(しらき・きみやす)
千里金蘭大学副学長兼看護学部看護学科教授、富山大学名誉教授(医学部)。大阪大学医学部卒。富山医科薬科大学医学部教授(ウイルス学)、富山大学医学部医学科教授、富山大学医学部医学科長。


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白木先生のおっしゃる通り、早期に投与すれば新型コロナ患者の重症化を避けられるのに、ワザザワ足を引っ張る抵抗勢力が、あちこちに涌いていますね。



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