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■節税のための不動産投資に赤信号
2019年4月17日、日銀が公表した金融システムリポートで、銀行の不動産業向け貸し出しが過熱状態にあると警鐘を鳴らしています。
金融機関が、不動産業向け融資に慎重になると、色々な所で不都合が起きてしまいます。
多額の借り入れをして賃貸アパートや賃貸マンションを建設したり購入したりする相続税の節税対策にもモロに影響が出てきます。
スルガ銀行や西京銀行や西武信用金庫なども不正な融資に関わっていました。
金融機関だけでなく、税制改正やハウスメーカーの不適切な工事などもありました。
TATERUやスマートディズの「かぼちゃの馬車」の問題もありました。
フラット35でも、住宅用以外への転用は、一括返済を求めるようになりました。
そのため、アパート経営を使った節税対策には、赤信号が灯ったと言っても、もはや間違いではありません。
今後、株価が下がり、高値圏にある地価や賃料収入が下落に転じれば、誰が見ても完全なる赤信号に変わります。
不動産については、現金に比べて大幅に評価減になるため、賃貸物件は相続税の節税に役立つとされています。
まず、建物は固定資産税評価額から借家権割合(全国のほとんどの地域で30%)を差し引けます。
土地も貸家を建てることで、大幅に減額されるのです。
小規模宅地の特例(200平方メートル以下)が使えると、土地の評価額は半減し、現預金に比べて相続税評価額を約36%に抑えられる場合もあります。
親から相続した土地で、賃貸業を営んでいる地主ならば、建築資金の大半を銀行からの借り入れで調達することも多いです。
そのため、建物評価額を上回る借入金は、他の相続財産から控除できるので、さらに節税になるようなモノだったのです。
そのため、2018年の初めごろまで、銀行は賃貸用の不動産への融資に積極的でした。
しかし昨年、スルガ銀行の投資用不動産に対する不正融資が発覚しました。
エビデンスの改竄や二重契約などのやりたい放題をしていたのです。
金融庁が監視を強めたことで、銀行も賃貸用の不動産への融資に慎重になっているのです。
条件が良くない物件の融資では、今までより多くの担保を求められるようになりました。
物件価格の2割から3割の頭金が必要とされるようになったのです。
つまり、フルローンやオーバーローンは、通らなくなってしまったのです。
また、新規融資を受けるには、安定収入が得られる物件が必要となりました。
ギャンブルみたいな不動産投資を避ける為です。
相続時にメリットが大きかった『小規模宅地の特例』についても改正がありました。
昨春、相続開始前3年以内に新たに賃貸業を始めた場合、特例が使えなくなるのです。
さらに、税務調査も厳しくなったのです。
大家の多くは、自分や家族が役員を務める不動産管理会社をつくり、そこに賃貸物件を移しました。
このこと自体は、特に問題はありません。
しかし、管理会社に支払う管理料や家族の役員報酬が、相場よりも高いと、執拗に修正申告を求められるケースも出てきました。
税務署は、大きな歪みがあれば、そこをついてきます。
今までは良くても、みんながそのような節税をすると蓋を閉めてくるのです。
そして、レオパレスや大和ハウスによる不適切工事が表面化したことも向かい風となっています。
両社とも、節税対策の賃貸物件の建設では知られた大手の会社だからです。
ハウスメーカーでさえも、しっかりと対応ができていなければ、どこならばしっかりと対応をしているのでしょうか?
地価や賃料収入は、都市部を中心に今のところ高値圏にあります。
しかし、2020年後半までには、本格的な下げに転じると見る向きは多いです。
すでに、節税を目的とした賃貸物件は、地域によっては空室率が目立つ状態となっています。
賃料収入が細れば、借入金の返済資金が滞る可能性が出てくるのです。
そうなれば、節税メリットは完全に吹き飛んでしまうでしょう。
タイミング的に、不動産投資のリスクが大きくなる時期となりました。
現金を持っていなければ、不動産投資ができないように、元に戻ってしまったのです。
節税のための不動産投資に、赤信号が灯ったと言っていいでしょう。
クエスト不動産経営管理(株) 石光良次